不動産再生

誰も買いたがらなかった物件が、中核事業になった理由

誰も買いたがらなかった物件が、中核事業になった理由

私は、「もう使えない」と言われた物件を買って再生することが、得意というより、正直すごく好きです。

企業再生の文脈でも少し触れましたが、群馬県にある6,000平米の土地と、6棟の建物を含む物件を買収し、現在も改修を進めています。
神奈川県・清川村ではログハウスを所有し、今も100万円ほどで購入できそうな古民家の再生を計画しています。

不動産再生も「カビと空気」から始まっている

私の使命は、「カビで悩んだり、大切な人を失うことのない社会をつくる」こと。 この想いだけは、創業から10年以上変わっていません。

私が購入・再生している物件の多くは、実際にカビが発生していた空き物件です。 そこに入り、空気の流れと構造を読み直し、“カビが生えない空間”へと作り変える。 それが、私のやり方です。

リフォームに加えて、温熱環境を測定するデータロガーを設置し、 湿度・温度・結露条件などを継続的に記録。
「なぜ再発するのか」「何が効いたのか」を、感覚ではなくデータで読み解けるようにしています。

そして、再生した物件には実際に人が住み、再発しないかを現場で検証する。 そのデータは液剤や施工技術の改善に活かされ、 現場 × 思想 × 開発がぐるぐると回る循環を、今、私はつくっています。

空気が整うと、入居も決まる

こうした物件を整えていくと、不思議と入居が自然に決まる瞬間がやってきます。 もちろん、見た目が良くなることも要因のひとつですが── 私は、もっと深い理由があると思っています。

それは、空気が整っているから。
人は、目には見えないけれど、“何かが違う空間”をちゃんと感じ取っているんです。

実際、全国のホテルをまわり、照明やクロスの使い方など、お金をかけずに再現できる工夫は学びました。 でも、最終的に決め手になるのは、**清潔感や装飾ではなく「空気そのもの」**なのだと感じています。

事務所でも住宅でも、空気がよどんでいる場所では、見学者は決断できません。 逆に、空気が軽く、動いていて、濁っていなければ── 契約書にサインする確率は、明らかに上がるのです。

10年で1,000億円分の不動産を再生する

現在、私は以下のような目標を立てています。

  • 5年で100億円分の物件を取得・再生・検証
  • 10年で1,000億円分を動かし、「空気から再生するモデル」を社会に定着させる

そのプロセスで、現在開発中の「カビ発生予測AIシステム」にも、 現場で取得した温熱データ・湿度変化・結露傾向・空気の動きなどを学習させる計画です。

つまり、AIで構造を読み、現場で再生し、社会に返す。 その実験場として、私は今「誰も買いたがらなかった物件」を次々に動かしています。

穂苅的まとめ

人が買わない物件には、必ず理由がある。
でも、「カビが生える構造」さえ読み解ければ、再生の糸口は必ず見える。

私にとって不動産再生とは、
空気を整えることであり、思想を実験する場所でもあり、
そして、社会を静かに変えていく“研究の現場”でもあります。

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