カビで父を亡くし、再生という仕事に出会った。
私のビジネスの始まりは、父がカビを原因とする肺線維症(間質性肺炎)になったことでした。
藤沢の丘の上にあるマンション。
雨の日、仕事を終えた帰り道に、父から電話がありました。
「そんなに長くないかもしれない」──
あの言葉は今でも、耳に残っています。
その後、良い医師に出会い、半年と言われた命は5年に延びました。
でも、家族が不治の病になると、心は何万回も「最期のシミュレーション」をします。
そして本当にその日が来た時、私は泣く暇もなく、喪主としての役割に追われていたのを覚えています。
いまこの文章を書いているのは、父の七回忌。
時が経っても、不思議とあの空気は色褪せません。
始まりは小さな“除去”だった。
そこから私は、「カビを取る仕事」を始めました。
最初は誰にも信じられなかった。
ちなみに銀行から借りれたお金は100万円です・・・いくら資料を作って見せてもわかってもらえなかった・・・
でも私は、自分の中に不思議と確信がありました。
黴を除去して、空気を整えれば、人は救われる。
そう思えたからです。
あれから11年、6社のグループに育った。
2025年5月29日で創業から11年。
今では6社のグループ会社を持つまでになりました。
- カビ取り事業では特許を2件取得
- トヨタコードも取得し、全国のトヨタディーラーで当社の液剤が販売
- 誰も手を出さなかった13年連続赤字の会社を買収し、1年で黒字化
- その会社に付随していた不動産を再生し、今では中核事業に
- 雑誌・テレビなど各種メディア取材もいただいています
気づいた。「全部、同じ構造で動いている」。
この10年で確信したのは、
カビ取りも、会社経営も、不動産再生も、再生事業も──全部、原理原則は同じだということ。
空気を読み、構造を整え、再発を防ぐ。
その“理(ことわり)”に気づいてから、
どの事業にも再現性を持たせられるようになった。
だから『黴と理』という場所をつくった。
このブログは、私の備忘録です。
これまで、私は日本で一番“かびている現場”を見てきたと思っています。
その中で培った「読み方」を、これから書き残していこうと思います。